ぼんぼり

埼玉で有名な祭りといえば?と聞かれて、思い浮かぶのは「秩父夜祭り(ちちぶよまつり)」。
豪華絢爛な屋台とお囃子、冬の夜空に打ち上がる花火、そして背景にある神話や風土とのつながり。
調べてみたら、想像以上にすごいお祭りでした。

秩父夜祭りとは

秩父夜祭りは、毎年12月2日、3日に行われる秩父神社の祭。
「夜まつり」とか、近隣では「妙見まち」、養蚕農家のあいだでは「お蚕まつり」、露天商の間では「妙見さんの大市」など、地域によって呼び名が違うらしいです。
それだけいろんな人の生活に深く根ざした祭りなんだなと思う。
2016年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されていて、国の重要無形民俗文化財にもなっている。

見どころは、何といっても豪華な笠鉾(かさぼこ)と屋台の巡行。
それぞれに神話や歴史上の人物の人形がのせられていて、お囃子の音に合わせて街中を練り歩く。
そして夜になると、冬の澄んだ空にこれでもかというほどの花火が打ち上がる。
真冬の夜に大規模な花火大会ってだけでも新鮮なのに、それが伝統行事の一部だというのが面白いですよね。

秩父夜祭りの起源

調べてみて驚いたのが、秩父夜祭りがただのにぎやかな祭りじゃないということ。
この祭りの背景には、妙見菩薩(女神)と、武甲山に棲む男神が年に一度だけ逢瀬を許される夜という、ロマンチックな言い伝えがあるらしい。

実際、12月2日の夜には「お諏訪渡り」と呼ばれる神事が行われ、3日の神幸行列では諏訪神社の前を静かに通るというしきたりが今も守られている。

さらに、春の「御田植祭」では武甲山の龍神を迎え、夜祭ではその龍神を山へ送り返すという、水と農耕に根ざした神事としての側面もある。
つまり、ただ派手なだけの祭りじゃなく、生活と自然と信仰が繋がった土地のリズムのようなものが、この祭りには宿っているんですね。

「秩父夜祭り」と聞けば、埼玉県民なら名前くらいは知っている。
でも、その中身までちゃんと知っている人って、意外と少ないんじゃないだろうか。
自分もそのひとりだったけど、今回調べてみて印象ががらりと変わりました。
正直、これまで「花火と屋台がある冬祭り」くらいに思っていたけれど、調べれば調べるほど奥が深い。
屋台やお囃子の迫力はもちろん、背景にある神話や信仰が生きていることが、この祭りを特別なものにしているんだと感じました。
埼玉の誇れる伝統として、もっとたくさんの人に知ってもらいたいです。