風景

車に乗るとき、どんな音楽を流すか。
これ、実はけっこう奥が深い問題だと思うんです。

好きな曲をただ流せばいいってわけでもなくて、そのときの気分とか、走る道とか、同乗者がいるかどうかによって「ちょうどいい音楽」って絶妙に変わってくる。
個人的には、ドライブにおける選曲って、運転そのものと同じくらい大事な要素だと思っています。

ハンドルを握る前に、ふと「今日は何をかけようか」とプレイリストを開く瞬間。
その小さな選択が、その日のドライブ全体の空気感を決めることもある。
ちょっと大げさだけど、それくらい音と気分って連動してる気がするんですよね。

朝は静かに、夜は深めに

たとえば、早朝に車を出すとき。
まだ頭も体もぼんやりしている時間帯に、テンション高めのEDMとかを流されると、正直ちょっとキツい。
音の情報量が多すぎて、聴き疲れしちゃうんですよね。

だから朝のドライブでは、SIRUPや藤井風、iriあたりの落ち着いたR&Bやネオソウル系を選ぶことが多いです。
音数は少なめで、でもビートはしっかりしてる。
そういう曲だと、エンジン音や窓の外の風景と自然に溶け合ってくれて「今日もがんばるか」って気持ちになれます。

一方で夜のドライブは、朝よりも雰囲気がほしい感じ。
街灯のオレンジ、遠くにぼんやり光る信号、暗く沈んだビルの影。
そういう景色のなかでは、ちょっとチルな音楽がよく合います。
宇多田ヒカルのバラードとか、優河とか、音が空間にゆっくり染み込んでいくような曲を流すと、運転しながら思わず黙ってしまうくらい心地いい。

昼間の遠出なんかは、また違ってて。
少し開放感のあるポップスとか、少し懐かしさのある邦楽ロック。
サニーデイ・サービス、スピッツ、星野源とか。
ちょっと気だるくて、でも明るい空気を持った曲たちを気まぐれに流していると、運転も軽やかになります。

その日の自分に合わせるという選曲

面白いのは、同じ曲でも日によってしっくりくる日となんか違うなって日があること。
たぶん、選曲の正解って「音楽そのもの」じゃなくてその日の自分にあるんだと思います。
ちょっと落ち込んでるときに、あえて明るい曲をかけて元気を引っ張り出すこともあれば、むしろ静かな曲を流して「無理に元気出さなくてもいいよ」って自分を労わることもある。

「自分の気分に音楽を寄せる」のか、「音楽の力で気分を調整する」のか。
そのどちらも正解で、その時の自分がどっちを求めてるか、自然にわかるようになってくるような。

ちなみに、誰かを乗せてるときは、音楽の選び方がまたちょっと違ってきます。
その人の趣味を思い出してみたり、場の空気が重くならないようにポップめの曲を選んでみたり。
相手にとってちょうどいい空気を自分なりに考えるのもまた楽しいんですよね。